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特攻野郎Bチームモンゴルを走る

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「特攻野郎Bチームモンゴルを走る」では2001年にラリーレイドモンゴルに参加された岩崎さんのラリー回想記をお届けします。


第4回『奇跡の砂丘』
ETAP4(8月16日) Liaison 0.0km Special 283.21km

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよマスターオブ・ゴビを競う4日目(エタップ4)の朝を迎えた。

今日のルートは同じビバーク地に帰ってくるループコースである。テント等の撤収も無いのでいつもの朝よりもゆったりとした時間を過ごすことができる・・・が、なぜか緊張している。今まで順調に走ってきて順位も結構いいポジション!走るからには一日ぐらいその日の一番時計を出してみたいものである。そう!今日のエタップでそれを目指してがんばってみようと密かに闘志を燃やしていたのである。しかも副賞でマスターオブ・ゴビの称号も与えられるのである!
スタート順に並ぶと今日も3番手スタートである(笑)
スタートしてから20キロほどCAP走行をする。小さな砂丘をいくつも越えていくのがとても楽しい!レースとはいえ気分はフリーライドだ!しかし、ラリーなのでナビゲーションをしなくてはいけないが最初のピストをなかなか発見できない(泣)
近くで水田隊長と春木選手も迷っている。うん!これがオンコースだと思えるピストを発見し突き進む。それにしても今日のコースは楽しい!とても変化に富んでいてかつナビゲーションも難しい。ルート上には2本のタイヤ痕があるだけでどうも途中で抜いていったガントルガ選手と細野選手のようである。まだ50キロポイントだから私にもトップになる可能性は残っている。今日も順調である(今のところは・・・)
山の谷間にある枯れ川のルートから今日、朝のブリーフィングで言っていた絶海の孤島がいきなり目の前に現れる!今、走っている場所からかなり距離があるらしく蜃気楼のように見える!とても幻想的だ!

ドカァーン!

何が起こったのか判らないがとりあえず体とバイクが離れて空中を飛んでいる。その後、地面が近づいてきて激しい痛みが体を襲う。飛んでしまったようだ!

体は全身が痛いがなんとか動くし外傷もほとんど無い。バイクは少し離れたところで横たわっている。歩いて近づいていくとフロントホイールの形状に違和感を覚えるがそのままバイクを起こし走りだそうとするもフロントタイヤがサスペンションに干渉してまったく回転しない。

(この時点では、まだトップ3で今日のエタップを終了することを考えでいた)
ホイールが変形していたのは理解できたがどうやって修正するか考える。とりあえずホイールを外してみて全体重をかけて踏んでみるもまったく変化は見られない。たまたま通りかかった遊牧民に手伝ってもらうもあまり変わらない。だんだんと頭の中にリタイヤの文字が鮮明になってくる。その時、チーム員の傭兵マコちゃんが通りかかったがあえて私から呼ばなかった。が、こちらに来てくれた。どうにもならないかもしれない。と伝えて先を急いでもらう。とりあえず冷静になるため少し離れてランチパックを食べる。今日のビバーク地まで帰ればスペアのホイールがある。ビバークまで何とかしよう。でも現在のポイントはスタートしてから77キロのポイント。残りは少なく見ても200キロ以上!絶望的な数値である。ホイールが多少干渉しても回転さえすればペースを落として走行することが出来るのだが・・・カミオンバレーが通過するにはまだ時間がある。まだまた、モンゴルの大地を走りたいのだ!

ホイールの修復は不可能だということがわかった。タイヤを削るしかない!折れているスポークを外しフロントフォークと干渉しているタイヤのブロックをナイフで切っていく、半周ぐらいブロックを切ったところで若干干渉はするもののなんとかホイールが回転するようになった。なんとかなるかもしれない!再スタートするがかなりの振動がハンドルに伝わってくる。スピードもいつホイールが分解するかわからないので抑えていく。しかし、CP1の開設時間が残り少ない!出来るだけペースを上げたいがホイールが曲がっているためコーナはかなり減速しないとクリアできない、なんどもオーバーランしながらも時間ぎりぎりでCP1を通過する。オフィシャルの方が心配しているみたいだか残りはまだ180キロほどある。CP2の開設時間も残りの距離を考えるとかなりきびしい、先を急ぐ。

曲がったホイールでの走行にもだいぶ慣れてきたがそれでもスピードは時速100キロが限界だ!それも感覚が麻痺しているからで普通では走ることすらためらうだろう。
CP1を通過して比較的直線的なルートが多いので私にとってはラッキーだったが、それよりもナビゲーションが抜群にいい!自分で言うのも何だがミスする気がおこらない。途中の分岐であらぬ方向に進んでいくダカールの小林選手を発見などもした。かなりの選手がナビゲーションで苦労しているみたいである。CP2まで残り100キロを切ったところからルートがかなりテクニカル(日本の林道のようにクネクネしている)になってきた。これは私にとってかなりキツイ!コーナのたびに神経をすり減らしながらクリアしていく、時間がどんどん進んでいくがペースは上がらず距離もなかなか減らない。でも、焦ってもしかたないので淡々とこなしていく。ようやく朝のブリーフィングで言っていたドライレイクが見えた!もうすぐCP2があるが、ここからは砂丘を走らないといけない。CP2に到着したころにはかなりまいっていた。正直体がキツイ!オフィシャルの黒川さんが心配そうに声をかけてくれるが頭に入ってこない。目標はただ一つ!今日のビバーク地に到着すること。残り10キロは本当にきつくて巨大な砂丘をいくつも越えた。(少し迂回すれば砂丘を走らずにすんだけどね)スタックも何度もしたが、何とかビバーク地に到着する。
安堵の気持ちで一気に気が抜ける。すでに到着している人から幽霊でも見るかのような目でみられる(笑)
傭兵まこちゃん曰く、たかしはもうダメだわ!私が到着するまでにビバークではすでにリタイヤ扱いされていました(泣)
その後、メディカルゲルに連れて行かれてドクターに診察を受けるが問題なし!
明日もがんばってこい!(モンゴル語なのでわからないがたぶんこんな感じ)て、感じで励まされる。バイクの整備もチーム全員で片付けたので早い!でも大転倒したけどバイクの損傷はフロントホイールだけの交換で終了。メカの小川さん今日も出番が少なく残念そうである。
エタップ4の成績は隊長水田5位、傭兵まこちゃん8位、副隊長岩崎16位

余談:大転倒しているので体は全身がかなり痛く食事もしないままテントで寝てしまう。
チーム員の親切さが身にしみる一日だった。
 

 

 

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